《アイシテル~海容~》◆最終話
『2つの家族…それぞれの結末』(あらすじ)
事件から約1年後、智也(嘉数一星)は自立センターを出て家に戻ることになった。それを知った小沢家は困惑する。そんな中、さつき(稲森いずみ)は、あらためて智也と共に一生罪を償っていく覚悟を決める。一方、小沢家では、家族3人それぞれが清貴(佐藤詩音)が亡くなったことの意味を考え始める。
*****
先週、清貴の墓前で、聖子と対峙したさつき。
聖子の目の前で、土下座した。地面にひれ伏し
「申し訳ありませんでした。すべて、私が・・・」と言ったきり声が続かない。
聖子は膝まづき
「顔を上げてください。
あなたがどんなに苦しんでも私は楽にならないんです。おそらくこれからもずっと・・
娘のために、主人のために笑いたいのに・・笑う時間がほしいの。
ですからお願いします。顔を上げてください。」
しばしの沈黙の後、聖子は、吐き出すように言った
「生きて
生きてください。あなたのお子さんのために。
もう、二度と会うことは・・・
1年後
和彦も、さつきも、懸命に働いた。
さつきの職場や、住まいの近所には、智也が施設にいることを話していた。
家庭環境も整備され、智也が帰ってきた。
智也は不安だった。
小沢家では、キヨタンのジャガイモの収穫で、カレーを作っていた。
夕飯は智也の好きなものが並んだが、あまり口をつけなかった。
極端に口数が少なくなっていた。
さつきは、智也がなにを考えてるのか、
何をほしがっているのかと、腫れものに触れるようにしてきた。
それが智也に伝わっていたとしたら、と和彦に話し、私たち変わらなきゃと提案。
学校の転入日。さつきが付き添って職員室へ。いいな、私は転校した時一人で行きました。公立はその日に受理されて、すぐに受け入れ教室が決まり、教室の担任に連れられて、同級生に挨拶してそれでおしまい。
美帆子は、中学の同級生と会った。一人が携帯を開いて話に乗らなかった。
隣の子が携帯を取り上げて、美帆子も覗くと、裏サイトだった。智也の出所と編入した小学校の名前まで出ていた。ショックを受けた美帆子は、そのまま帰宅。
ふさぎこんでいたが聖子が帰宅し、さらに秀昭も知り、1年で戻ってきた智也の罪の軽さに、悔しい思いを募らせた。
智也は、自分のために祖母は書道教室を締め、父は新しいポロシャツを買ってきてくれ、自分の好きな食べ物が毎食出ることに不安がいっぱいで家庭裁判所に富田を訪ねた。
僕、施設に戻りたいと言った。
おばさん、その理由を聞けないんだ。
何度も智也君に聞いていたけど、
それはお母さんから智也を預かっていたから。
今度はお母さんに話してごらん。
親子だって話さないとわからないことがたくさんなあるんだから。
智也君が抱えていること、きっと分かってくれるから。
和彦に連れられて智也が帰ってきた。
黙っていたが、和彦に、皆に心配かけたんだから謝んなきゃなと促され
僕は、施設に戻りたいと言った。新しいシャツを買ってもらえるしおいしいものを食べられる。でもあの子は、それができない。そう聞いてさつきは、やっと口を開いてくれたので、嬉しかった。
でもね、智也。智也が思ってることは違うよ。
どんな時でも、清貴君のことを思う、その智也の気持ちは間違っていない。
けど、智也が何もしちゃいけないってことじゃないの。
これから先、智也は長い人生を歩んで行かなきゃならない。
それは笑ったり泣いたりして、いろんな事を学んで行くことなの。
もしそうしなかったら智也は自分が犯した罪がどんなものだったのか
分からないままでいてしまう。それは智也のためにならないし、
清貴君と、清貴君を失ったおとうさんとおかあさんが、望んでることじゃない。
大切なのは、智也が清貴君の分も、生きて行くこと。
生きて、今、できることをすること。
いろんな経験をして、自分がなにをしてしまったのか、知ること。
そのためには智也は、ここに、お父さんとお母さんのそばにいていいの。
それでも、智也は自分がいる事で迷惑をかけると、遠慮していた。
僕がいると、おばあちゃんが書道教室を辞めたのも、お父さんが前の会社を辞めたのも、僕のせいだって。だから僕はやっぱりここにいちゃいけないんだ。ここにいたら、また迷惑がかかる。僕のせいんなんだ、だから、僕なんか生まれてこなけりゃよかったんだ。
さつきの手が智也の頬を打った。
生まれてきちゃいけない命なんてない。
どんな命だって生まれてきた意味があるの。
智也がいなかったら、お父さんもおかあさんも生きていけないくらい
智也を愛してるの。
抱きしめながら、
愛してる。
智也も泣いた。
・・・・泣かされました![]()
和彦は、きっとこれでわかってくれたと言った。もしだめならまたぶつかればいいと言った。
翌朝、さつきは、玄関までいつものように智也を見送った。
行ってらっしゃい。
母の方を向いてしっかり目を見て
行ってきます!
美帆子は、小学校へ行っていた。
追いかけた両親。顔も知らない相手を探して、美帆子は佇んでいた。
あの子も苦しんでいる。苦しんでいる子を憎んで何が生まれる?
何も生まれない。と聖子は言った
秀昭が、
憎むべき相手はあの中にいない。
憎しみをもつ自分の中にしかその相手はいないんだよ。
だからもう、あの子はいない。
秀昭は、作っている公園を美帆子に見せた。
家族が自然と集まって、子供たちの笑顔が花のようにあふれる場所だ。
二度とあんな事件が・・・被害者や加害の家族が生まれないようにと。
キヨタンは、いろいろなことをパパたちに気づかせてくれた。
(聖子)美帆子が私たちに愛されていないって思いながら生きていたこと。
(秀昭)家族がバラバラになりかけたことも何度もあった。
だけどそのたびにキヨタンがパパたちをつなぎ留めていてくれたような気がする。
家族のもろさも尊さも、そして親子の喜びも、みんなキヨタンが教えてくれた。
キヨタンが亡くなったことを無にしないためにも、しっかり生きて行かなくちゃな。
家族で決意も新たにうなづき合った。
学校から、帰宅した智也は、玄関を開けると
「ただいま!」と大きな声で言った。さつきと和彦がそろって出てきて、
「おかえり」と言った。
和彦は、早く帰れたから、夕飯までの間遊ぼうと言った。
智也は、「僕、あの場所に行きたい」と言った。
事件を起こしてしまった”あの場所”へ、親子3人で行った。
ビルの上の親子の看板は変わっていた。智也はそっと手を合わせた。そのまましゃがみこんで祈った。少し離れた後ろで夫婦は、最敬礼していた。川は静かだった。
それから1年後。
さつきは、病院の分娩室へ入った。智也も、和彦も廊下で待ていた。
3ヶ月後。
すっかり赤ちゃんらしくなって、ご機嫌な智也の弟を、智也と同じと言いながらあやしていると、智也が来た。ニッコリ笑いかけ、智也の指を手でしっかりつかんでいた。
お兄ちゃんだとわかるのよとさつきは言った。
「生きてるんだね。」<<生まれてきちゃいけない命なんてない!>>
<<どんな命だって、生まれてきた意味があるの>>
涙をこぼしながら、
「ごめんなさい、ごめんなさい、清貴君。僕はなんてことを・・」
「ごめんなさい・・」泣く智也を抱きしめて一緒に泣くさつき。
富田さん。ご無沙汰しております。
早いもので智也が我が家に戻ってから1年が経ち
この春から、中学生になりました。
まだ未来への不安は抱いているようですが、
最近では、少ないながらも友達を大切にするようになり、
人との会話も、少しずつですが増えて行っています。
智也に対し、私は、清貴君の分まで生きることを
教え続けています。
清貴君のお母様の『生きろ』という言葉に含まれた
さまざまな思いを今の智也に理解させるのは、
難しいと思ったからです。ですが、生きて行くことをお許し
いただいた小沢家の皆様への感謝の気持ちを
忘れる日は一日たりともありません。
生きて行くということとは何か。
何が償いとなるのか、智也と共に、これまで以上に
深く考えて行きたいと思っています。
最後に新しく家族が増えたことをご報告します。
智也に弟ができました。もちろん産むことに
戸惑いがなかったわけではありません。
新たな命にも十字架を背負わせてしまうことも
分かっています。
でも授かった命の掛け替えのなさを感じ、
智也が未来へと目を向けるその助けに
少しでもなればと思っています。
そして母として、愛する2人の子を見守りながら、
私自身も成すべき答えを探して行きたいと思っています。
富田さんには、大変お世話になりました。
本当にたくさんのことを教えていただき、感謝しきれません
ありがとうございました。 野口さつき
川を渡る橋の上を乳母車を押した野口一家が通る。たくさんの人の中に、美帆子を交えた小沢一家も通った。何もなければ、交差することがない家族だった。
とても象徴的なシーンでした。
原作は、被害者家族をメーンにしていたそうですが、ドラマは、危害を与えてしまった方寄りです。どちらにせよ、人とは、良い出会いがしたいですね。
野口家の、智也が、事件を起こしてからまとまりましたが、本来は、そういうことがなくてもしっかり生きて行ってほしかった。
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