《キャットストリート》最終回
『涙の卒業式』(あらすじ)
恵都(谷村美月)は映画の撮影初日、恵都を憎む奈子(高部あい)によって倉庫に閉じ込められる。だが「友達がいるから私は頑張れる」という恵都の言葉は、かたくなだった奈子の心を溶かした。撮影に遅刻した恵都はスタッフ全員から白い目で見られるが、全身全霊をこめた演技でスタッフから認められていく。恵都と浩一(勝地涼)は、初めてお互いの思いを告白しあう。そして恵都たちが「エル・リストン」を卒業する日がやってきた。
*******
行かせないよ、撮影なんてと、ビルに閉じ込められた恵都。窓を壊そうとしてもびくともせず、立ち往生しているところに、マーサが入ってきた。パンとミルクを手渡そうとしたが、恵都は振り払った。ミルクはパイプに当たって瓶が砕けた。
「マーサ、どうして?」と問う恵都に
「僕は奈子さんに恩があるんだ。モデルとしてやっていけなくなって、ヘヤメイクに転向したとき奈子さんに拾ってもらった。今まで仕事が続いている。だから逆らえない。奈子さんは、今苦しんでる。僕は苦しんでる人が好きだ。高い所でいい気になってる人間より。」
森口に恵都がつかないと連絡があり、慌てて恵都の立ち寄りそうな、隠れそうな場所を探す紅葉、剛太、プレゼンがあった浩一まで駆り出された。恵都にはトラウマがあるからと心配する紅葉に、浩一はきっぱりと「イヤ、それはないよ。あいつは戦っているはずだ、きっとどこかで」
撮影現場では皆がイラついていた。
通路を、歩く奈子の足音がドアの前で止まった。恵都はすぐにドアに近づき
「奈子、教えて、なんでこんなこと。いるんでしょそこに。」
「あんたが立ち直ったからよ。ーーあんたに負けたくなくてずっと必死だった。レッスンも死ぬ気で頑張ったし、監督にお世辞も言った。でもいつも最後には、言われたの。恵都はすごい。恵都を見ろ。お前は恵都にはなれないよって。邪魔なのよ、あんたが![]()
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もう二度と私の目の前に現れないで。私が歯をくいしばって、あんたを越えようとしてきた7年間。意味ないじゃん。このままじゃ」
「意味なくなんか、ないよ。奈子が頑張ってきたの私は知ってるよ。この世界でずっとやっていくのが、どんなに大変かは、なんとなくわかってる。でも私も頑張ってきたんだよ。奈子の知らないところで、日の当たらない世の中の隅っこで。そこには同じように苦しんでいる仲間が居て、友達が居てね。その人が言ったの。『怒りや憎しみで、人に当たりそうになる。でもそれじゃだめなんだ、自分に勝たなきゃって。』そばに居てそう言うことを言ってくれる友達が居るから、私は今、頑張れてる。転んだら起き上がればいい。それを友達が教えてくれた。負けないよ私は。」
泣く奈子。後ろからマーサが「奈子さん、もう止めませんか。彼女を痛めつけて、気が済むならいい。それであなたが1歩でも前に進めるなら。」マーサが奈子をどけて鍵を開けた。
「行こう、車で送る。ぎりぎり撮影が終わるころには間に合う。早く!」走った。
「ありがとう、奈子大丈夫かな。」「大丈夫、僕がそばに居るから。」「いつか、舞台で、仕事場でまた奈子に会いたいって、そう伝えて。」
走って撮影場所に到着すると、もう機材を片づけ始めていた。会う裏方さんたち一人一人にすいませんでしたと声を掛けながら進む恵都。管特区を見つけて必死に謝る恵都。この仕事はどうしてもやりたいんです。「今日、お前は全員を敵に回した。一度信頼を失った人間が、信頼を取り戻すには、人の10バイの努力が必要だ。」
「頑張ります。私頑張ります。」
帰宅を心配して待つ、紅葉と剛太。足取りが重く恵都が戻ると、二人で階段から走ってきた。撮影所に来ないていうから、みんなで散々探して、とりあえず恵都の家で待ってたんだと早口で言われた。マーサが電話してきて、事情は聞いたが心配いしてくれた。
撮影は間に合ったの?と聞く紅葉に、まあ何とかとあいまいに答えた。幸一はプレゼンをすっぽかしたと聞いて浩一を訪ねて謝る恵都。ソフトに欠陥が見つかったから直しているところだと浩一は言った。中に入れと言われ、何か作ろうかと聞いた。米を洗剤で洗うなよとからかう浩一に、
「私覚えたよ、ご飯の炊き方、お味噌汁の作り方、バスの乗りかた。ちょっとずつできなかったことを減らして出来ることを増やして、浩一のおかげだよ。浩一とみんなの。」ふんふんとは鼻で笑った。
「その年でその程度のことできなきゃ、しょうがないだろう」
「今日は料理するよ、私!」と腕まくりし始めた。「ちゃんとやるから任しておいて」
カレーを作ることに決めても、順番が少し違って、浩一が作ると言った。所在無げに、パソコンの前に座ると、メールが来ていた。
お金いっぱい使わせちゃってゴメン。でもあの時のバッグ,とても可愛くて気に入ってるよ。
一緒に食べたフレンチもおいしかったね。
また銀座でごはん、食べよう。この次は和食がいいな。
ダーリンへ。プリンセスより。
恵都はとっても早く歩いた。でないと、今見たことや今知ったことが心に突き刺さってしまう。きっとあとですごく痛くなる。
浩一はあと10分くらいでできるよと声をかけたが、恵都はいなかった。伏せられたノートPCにはメールが見えた。
スクールにきた恵都は、紅葉の部屋で、剛太と仲良く映画の話をしているところに入ってきた。「一緒に映画に行くってことはさ、付き合っているってことになるんだよね。」ぎょっとして離れる二人。「銀座でご飯食べたり、バッグを買ってあげるの、恋人にすることだよね」そのまま部屋を出た。追いかけて紅葉が「銀座って何よ。誰と誰が銀座行ったの?」目でパソコン部屋を指す恵都。「浩一?」どぎまぎして知らない私。としどろもどろで、浩一が誰と付き合っているなんてと言った。2階のバルコニーで、恵都は思った。(もう二度と人を好きになって、傷つくのは嫌だ。でも恵都、あなたは強くなったんじゃないの?今のあなたなら、立ち向かえるんじゃないの。たとえどんな答えが待っているにしても)
紅葉は、浩一を訪ね、カレーを食べていた。そこで浩一が付き合っている人が居るのかリサーチ開始。答えの出ないことは面倒で嫌いだと答えた。紅葉は結局自分が傷つきたくないだけじゃんと、結論。恵都は7年ぶりにカメラの前でセリフを言うので、震えてるよ、励ましとギュッとしてほしいんだよと本題を言うと、浩一は、ちょっと買い物と言いながら、外に出るとダッシュで走り出した。
撮影で、化粧室に行くと、冷やかな目が待っていた。しかし、雨のシーンでの恵都は堂々として声が通っていた。監督にも声が出ていると認めてもらえ、タオルを渡され、ふと見ると見物人の中に浩一がニコニコしていた。
帰りの鉄橋で、「よく頑張ったな。」「すごい緊張したけど、」「そんな風には見えなかった。プロの顔になっていた。」「そっかなぁ。いつも浩一は私のこと見ていてくれるんだよね。あのね、浩一。。」「俺さぁ、プライド高いし、マイペースだし、女の子と付き合うの苦手なんだ。だからネットでバーチャルなデートしていた。」「バーチャル?!」「そう、一緒にレストランに行ったり、買い物に行ったフリ、ごっこだよ」「そういう意味だったんだ、アレって」「エ、別に。」ほっとして、「何か空気いいね今日。星も出てるし」「そうだな。」「ありがとう、うちすぐそこだからここでいいよ」「いや送るよ玄関まで。大人のマナーだ。そう言うのは。」
「ただいま」おかえりなさいと出てきた母は浩一が居るのでビックリしたが、送ってきてくださったのと好意で受けていると、父が妹を連れて、アイスを買いに行くと顔を出した
「こんばんは。恵都さんとフリースクールで一緒の峰と言います。恵都さんとお付き合いさせていただいてます。」お茶でもと言うのを遮って、じゃ、またなと帰って行った。
追いかける恵都。「浩一!、浩一!」「「何走ってきてるんだよ。意味ないじゃん。せっかく送ったのに。」「でもどうしても言いたいことがあって。嘘ついちゃダメだよ浩一。私たち付き合ってなんかないじゃん。」「そか」「これから付き合うんだよ。浩一は、いつもそばに居てくれたよね。落ち込んだときは、励ましてくれた。間違えた時は、叱ってくれた。それから、何も言わずに黙って見ていてくれた。私、今まで浩一にしてもらうことばっかりで、してあげられるこ都とか、悲しいぐらいホントに何もなかった。だからせめて今日は私から言わせて。浩一私ね、私、浩一のことが、、、、、好きです。付き合ってください。」
「こちらこそ、よろしく」手を出した。二人はがっしりと握手した。浩一はその手を引いて、恵都を抱きしめた。
両親が、こんなことで悩めるなんてと嬉しがって居た。
剛太が、優勝した。喜びのひと声をと言われても答えられなかった。紅葉が「剛太最高、さすが私の彼氏!」と叫んだのをきっかけに「ありがとう」と普通に言えた。
走ってスクールに戻った4人。まず剛太が、差し出したのは、生まれて初めての1等賞でもらった賞金20万円、紅葉はフリマで稼いだ3万2300円。スクールの立て直しに使ってくださいと差し出した。恵都は、映画のギャラ、浩一はゲームソフトが売れたので、使ってくださいと。感無量の森口。立派になったなぁお前ら。じゃこうしようか。これから卒業式やろうか。
鈴木剛太くん。おめでとう。と言いながら、渡したお金をそのまま戻した。息子の話をした。長い間いじめに合っていて、引きこもっていたが、同級生から暴行されて命を落とした。俺は息子の辛さに気づいてやれなくて、学校行けってせっついてさ、だから、息子みたいな子を一人でも救えればと思って、このスクールを開いたんだ。幸いなことに、息子の同級生の父兄が、ただ同然でこの建物を貸してくれた。そのオーナーが去年亡くなったんだ。だからもうすぐこの建物は使えなくなる。そりゃ残念だ。残念だけど、君たちにとって一番大切なことは、こういう場所がもう必要じゃなくなると言うことなんだよ。君たちはもう十分やっていかれる。自分の意思と、力でそれだけのものを稼いで俺に恩返しをしてくれた。もちろん、君たちと違って、まだまだ大人の手助けが必要な子供たちもいるよ。そう言う子供たちのために我が家を改造して、エル・リストンとしての活動は続けていくつもりだよ。ここに来る子たちはみんな何かが1個足りないモノを抱えてる。その分、人にはないものを持っている、俺はそう信じてる。信じてやりたいんだ。」
「ありがとうスクール長。俺たち、エル・リストンを卒業します。これからは、ひとりひとり自分の足で歩いて、がんばっていきます。」うん、俺も頑張る、じゃあ、私も頑張る。
森口は、ひとりひとりの頭に手を乗せ何かを注入するようにした。
私たちは、その日、卒業した。
それでも人生の散歩道はまだはるかで、私たちは迷うこともあるだろう。
そんな時は、隣に居る友の手をそっと取るがいい。
温かな手がきっとそこにあるから。
舞台奈落からせりあがってきた恵都。あのとき置いてきて子役時代の自分がすぐ横に居た。恵都同士が手をつないで一体になった。やっと自由になってはばたいた。
フリースクールを知らなかった私でしたが、規格品以外を受け入れない学校だったら、きっとはみ出していたと思います。結構個性的な教師が多い学校だったのは、私にとって幸いだったのだと思いました。
確かに、必要悪なフリースクールです。なければ、彼らは逃げ場がない。逃げ場があっても、出ていかなければならないのは、いつまでの子供のまま居させてくれるところはないですからね。そのきっかけをどこで見極めるか、親がどんなに心配しているのか見せるといいですね。
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コメント
良いお話でした。校長の言葉が心に染みました。
こういう子供達が救われる学校が、たくさんあると良いですね。
彼らにつまづくことを恐れない道を歩んで欲しいと思いました。
投稿: くう | 2008/10/04 00:15
実際は戸塚ヨットスクールみたいになっちゃうもんね。ほんとにこんなフリースクールがいっぱいあるといいね。
投稿: お気楽 | 2008/10/03 19:45
ちょっと急ぎ足でしたが、素敵な最終回でしたわ~

エル・リストンで、仲間を得、自分にもちょっぴり
自信がついた彼ら・・・
それぞれの才能を活かし、今後も強くたくましく
生きていってほしいデス
投稿: まこ | 2008/10/03 09:55